
3月や4月は鼻水やくしゃみで悩んでいたのに、6月になると花粉症のことを忘れかけている――そんな方も多いのではないでしょうか。
実は、スギ花粉症の体質改善を目指す「シダキュアによる舌下免疫療法」は、症状が落ち着いた今こそ検討しやすい治療です。この記事では、どのような方が対象になるのか、どのように治療を進めるのか、そして続けるためのコツまで分かりやすくご紹介します。
花粉が飛ばなくなると、つい受診の優先順位が下がってしまいます
春先は「来年こそ何とかしたい」と思っていても、症状が落ち着く頃にはその気持ちも薄れてしまうものです。
しかし、舌下免疫療法は花粉症の症状が強い時期に始める治療ではありません。
スギ花粉が飛散していない時期に開始し、少しずつ体を慣らしていくことで、翌年以降の花粉シーズンに備えていきます。
毎年薬を飲み続けている方や、仕事・勉強への影響を感じている方にとっては、「症状がない今」だからこそ検討する価値がある治療といえるでしょう。
毎年こんなことで困っている方は相談してみる価値があります
シダキュアによる舌下免疫療法は、アレルギー検査でスギ花粉症と診断された方が対象です。
特に次のような方は検討しやすいと考えられます。
- 毎年花粉症の症状が強い
- 市販薬や処方薬が手放せない
- 薬の眠気が気になる
- 花粉シーズンになると仕事や勉強に集中しづらい
- 将来的に薬の使用量を減らしたい
- 若いうちから長期的な対策を考えたい
「今年だけ乗り切れればよい」という方よりも、「今後も長く付き合う花粉症を少しでも改善したい」という方に向いている治療です。
シダキュアは症状を抑える薬とは少し考え方が違います
一般的な花粉症治療は、抗ヒスタミン薬や点鼻薬などで症状を抑える対症療法です。
一方、シダキュアはアレルギーの原因となるスギ花粉エキスを少量ずつ体内に取り入れ、免疫反応を変化させていくことを目指す治療です。
このため、服用したその日に症状が改善する治療ではありません。
時間をかけて体質に働きかける治療であり、将来的な症状軽減や薬剤使用量の減少が期待されています。
日本アレルギー学会や鼻アレルギー診療ガイドラインでも、アレルゲン免疫療法は花粉症の原因に介入する治療として位置づけられています。

治療は最初の1週間と、その後で内容が変わります
シダキュアは毎日1回、舌の下で服用します。
治療の流れは比較的シンプルです。
【初回】
初回は医療機関で服用します。
まれなアレルギー反応がないか確認するため、服用後しばらく院内で経過観察を行います。
【導入期】まずは少ない量から始めます
- シダキュア2000JAU
- 1日1回
- 約1週間
【維持期】その後は維持量へ移行します
- シダキュア5000JAU
- 1日1回
- 長期継続
治療期間の目安
一般的には3〜5年程度の継続が推奨されています。
少し長く感じるかもしれませんが、毎年春になるたびにつらい症状に悩まされている方にとっては、一つの選択肢になり得ます。
「毎日続ける」が治療効果を左右します
舌下免疫療法で意外と大切なのが継続です。
どれほど良い治療であっても、飲み忘れが続くと十分な効果を得にくくなります。
続けやすくするためには、
- 朝の歯磨き後に服用する
- 朝食前に習慣化する
- スマートフォンでリマインダーを設定する
- 家族と一緒に管理する
といった工夫が役立ちます。
毎日の服用時間は数分程度ですので、「特別な治療」というより「生活習慣の一部」として組み込むことが継続のコツです。
※ただし、薬の成分をしっかり吸収させるため、服用前5分間および服用後5分間はうがいや飲食を避ける必要があります。
口のかゆみや違和感は珍しくありません
治療初期には、
- 舌の下の違和感
- 口の中のかゆみ
- 唇の軽い腫れ
- のどの違和感
などがみられることがあります。
多くは軽症で、一時的なことが少なくありません。
ただし、ごくまれに重いアレルギー反応(アナフィラキシー)が起こる可能性もあるため、医師の指示に従って治療を継続することが大切です。
体調不良時や抜歯後、口内炎が強い時などは服用方法について相談が必要になる場合があります。
実は向いている人と向いていない人がいます
向いている方
- 毎年症状が強い
- 薬の副作用が気になる
- 若年〜中年で長期的な改善を希望している
- 毎日の服用を続けられそう
慎重な判断が必要な方
- 重症またはコントロール不良の喘息がある
- 毎日の服薬が難しい
- 定期通院が困難
- 重篤な免疫疾患がある
- 妊娠中に新規開始を希望している
適応については個別の判断が必要なため、診察時にご相談ください。
治療の特徴を整理するとこのようになります

Q&A
Q. 本当に花粉症が治るのでしょうか?
舌下免疫療法は花粉症の原因に働きかける治療ですが、すべての方で症状がなくなるわけではありません。
一方で、症状の軽減や薬剤使用量の減少が期待できることが複数の研究で示されています。
効果の現れ方には個人差があり、治療開始から数年かけて評価していくことが一般的です。
「完全に治す治療」というより、「長期的な改善を目指す治療」と考えるのが現実的でしょう。
Q. 何歳くらいから受けられますか?
5歳から治療を受けられます。勉強などで忙しくなる前に治療を始められる方も多いです。
ただし、毎日決められた方法で服用できることが大切です。
年齢だけではなく、治療内容を理解し継続できるかどうかも重要な判断材料になります。
お子さんの場合は保護者のサポートも欠かせません。
Q. 今年の花粉シーズンが終わっていても意味はありますか?
むしろ今の時期が検討しやすい時期です。
スギ花粉飛散中は新規開始が推奨されていません。(ただし、治療をスタートしていれば、飛散シーズンになっても舌下免疫療法を継続できます。)
花粉が落ち着いた初夏から秋にかけては、来年のシーズンに向けた準備を始めやすい時期といえます。
毎年花粉症で苦労している方は、症状を忘れてしまう前に一度相談してみるのもよいでしょう。
Q. 治療中も花粉症の薬は必要ですか?
必要になる場合があります。
特に治療開始後しばらくは、従来の抗アレルギー薬や点鼻薬を併用することも珍しくありません。
症状の程度や花粉飛散量によって調整しますので、自己判断で薬を中止せず医師と相談しながら進めることが大切です。
Q. 飲み忘れたら効果はなくなりますか?
1回の飲み忘れで治療効果が失われるわけではありません。
ただし、飲み忘れが繰り返されると十分な効果が得られにくくなります。
長期間中断した場合は再開方法に注意が必要なこともありますので、自己判断せず医療機関へご相談ください。
まとめ

春の花粉症が落ち着くと、どうしても受診の優先順位は下がってしまいます。しかし、シダキュアによる舌下免疫療法は、まさに今のような時期に始める治療です。
毎年のくしゃみや鼻水、目のかゆみに悩まされている方にとって、「来年も同じ春を迎える」のか、「少し先を見据えて準備を始める」のかは大きな違いになるかもしれません。
当院では、まず本当にスギ花粉症が原因かを確認したうえで、生活スタイルや通院状況も含めて治療適応を判断しています。舌下免疫療法が向いている方もいれば、従来の薬物療法を中心にした方がよい方もいます。
今年の花粉症がつらかった方は、症状を忘れてしまう前のこの時期に、一度ご相談ください。
参考文献
・日本アレルギー学会. アレルゲン免疫療法の手引き 2022年版
・日本鼻科学会. 鼻アレルギー診療ガイドライン 2024年版
・PMDA. シダキュアスギ花粉舌下錠 添付文書 2024年改訂版
・厚生労働省. アレルギー疾患対策推進関連資料
・Okamoto Y, et al. Allergology International. アレルゲン免疫療法に関する総説
ちぐさ内科クリニック覚王山
内科/美容内科/美容皮膚科
内科医 美容皮膚科医 近藤千種

近藤院長の経歴はこちら
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