冬の乾燥期に悪化する重症ニキビとイソトレチノイン
― 有効性と重大な注意点を正しく理解する ―
冬の乾燥時期に悪化しやすい重症ニキビに対し、イソトレチノインの有効性と限界、そして催奇形性などの重要な注意点を、医学的エビデンスに基づいて解説します。

抗菌薬や外用薬を続けているのに、なかなか改善しないニキビ。
特に冬になると「前より悪化した気がする」「治りが遅い」と感じる方も少なくありません。
冬は空気の乾燥により皮膚のバリア機能が低下しやすく、炎症が長引きやすい季節です。そんな中で治療選択肢として名前が挙がるのが、イソトレチノインです。
国際的には重症ニキビ治療の中心的存在とされる一方、取り扱いには十分な注意が必要な薬剤でもあります。
この記事では、イソトレチノインの「効く理由」と「知っておくべき注意点」を、できるだけわかりやすく整理します。
イソトレチノインについて
まず押さえておきたいのは、次の3点です。
第一に、イソトレチノインは重症・難治性ニキビに対して高い有効性が示されている治療薬であること。
海外ガイドラインでは推奨強度「強」、根拠レベル「高」と評価されています。
一方で、催奇形性をはじめとする重大な副作用があり、自己判断で使用できる薬ではありません。
そして、日本では未承認薬であるため、十分な説明を受けた上で、医師の厳格な管理下で使用する必要があります。
冬の乾燥がニキビを悪化させる理由
冬になると湿度が低下し、皮膚の角層水分量が減少します。
その結果、皮膚のバリア機能が乱れ、外からの刺激を受けやすくなります。
この状態では皮脂の分泌バランスも崩れやすく、毛穴の詰まりや炎症が助長されます。
特に結節性・嚢腫性ニキビのように皮膚の深い部分まで炎症が及ぶタイプでは、治癒までに時間がかかり、瘢痕(ニキビ跡)のリスクも高くなります。
「冬になると治りにくい」という感覚は、決して気のせいではありません。
なぜイソトレチノインは効果が高いのか
イソトレチノインはビタミンA誘導体(レチノイド)に分類される内服薬です。
ニキビの原因となる複数の要素に、同時に作用する点が大きな特徴です。
具体的には、皮脂腺を萎縮させて皮脂分泌を大幅に抑え、毛穴の角化異常を正常化します。さらに、アクネ菌の増殖を抑え、炎症反応そのものも鎮めます。
この「多面的な作用」によって、外用薬や抗菌薬では改善が難しかった重症例でも、高い効果が報告されています。
治療の土台となる生活習慣
イソトレチノインの治療効果を安全に引き出すためには、日常生活の見直しも欠かせません。
洗顔は低刺激を心がけ、こすらないこと。
保湿は「ニキビがあるから控える」のではなく、ノンコメドジェニック製剤を適切に使用します。
また、睡眠不足や極端な食事制限は、皮膚の回復力を下げてしまいます。
これらは「治すため」というより、副作用や悪化を防ぐための大切な土台です。
イソトレチノイン内服治療について
イソトレチノインは、体重あたり0.3〜0.5mg/kg/日程度から開始されることが一般的です。
海外ガイドラインでは推奨強度「強」、根拠レベル「高」と評価されています。
一方で、口唇炎や皮膚の強い乾燥、肝機能障害、脂質異常、気分変調などの副作用が起こることがあります。
特に重要なのが、強い催奇形性を持つ点です。妊娠中や妊娠の可能性がある場合は、内服できません。
そのため、定期的な血液検査と、確実な避妊管理が必須となります。
施術との関係
イソトレチノイン内服中は、レーザー治療や侵襲性の高いピーリングなどについて、慎重な判断が必要です。
炎症が落ち着いた後、皮膚の状態を見ながら段階的に検討していきます。
※当院では、適応を厳密に判断したうえでイソトレチノインの院内処方を行っています。必要に応じて、皮膚状態に合わせた補助的治療をご提案することもあります。
よくある誤解と注意点
「一生皮脂が出なくなる」「とにかく強い薬だから早く効く」といったイメージが先行しがちですが、正しくはありません。
自己判断での中断や再開、避妊管理の軽視、乾燥対策不足は、トラブルの原因になります。
10秒セルフチェック
◯抗菌薬や外用治療で改善しない
◯結節・嚢腫性ニキビを繰り返す
◯ニキビ跡ができやすい
2つ以上当てはまる場合は、専門医への相談を検討しましょう。
Q&A
Q. 一生飲み続ける薬ですか?
多くの場合、一定期間の内服で終了します。
Q. 再発はありますか?
再発率は低下しますが、ゼロではありません。
Q. 冬は副作用が出やすいですか?
乾燥症状が出やすいため、特に保湿管理が重要です。
Q. 表示されている金額以外に、追加費用はかかりますか?
A. 初診時は初診料(採血費用込み)が必要です。再診時は診察内容や必要な検査に応じて費用が発生する場合があります。
Q. 毎月必ず同じ薬代がかかりますか?
A. 症状や体重、副作用の出方によって用量を調整することがあるため、月ごとの薬代は変動する場合があります。
Q. 保険は使えますか?
A. イソトレチノイン治療は自由診療となるため、健康保険は適用されません。
Q. 途中で治療を中止した場合、返金はありますか?
A. 処方後のお薬代については原則として返金できません。治療開始前に十分ご説明し、ご納得いただいたうえで処方を行います。
Q. 採血は毎回必要ですか?
A. 安全管理のため、治療開始時および治療経過に応じて定期的な血液検査を行います。
まとめ
イソトレチノインは、重症ニキビに対して非常に有力な選択肢です。
一方で、効果が高いからこそ、正確な知識と厳格な管理が欠かせません。
「本当に自分に必要かどうか」を医師と一緒に確認しながら、納得したうえで治療を進めることが、最も大切です。
当院では、医師の厳格な管理のもとでイソトレチノイン(アクネトレント)内服治療を行っています。
他の治療で十分な改善が得られなかった難治性・重症ニキビでお悩みの方は、治療の適応や注意点を丁寧にご説明したうえでご提案いたします。まずはお気軽にご相談ください。
イソトレチノイン(アクネトレント)料金表(税込)
◯初診料(開始時採血費用込み) 5,500円
◯アクネトレント(10mg) 1日1回 30錠 13,200円
◯アクネトレント(20mg) 1日1回 30錠 17,600円
※治療内容・用量は、症状や体重、検査結果により医師が判断します。
※内服中は定期的な診察・血液検査が必要です。
※妊娠中・妊娠の可能性がある方は内服できません。
未承認薬についての注意事項(重要)
本治療で使用するイソトレチノイン(アクネトレント)は、日本国内においては医薬品医療機器等法上の承認を受けていない未承認薬です。
そのため、医師の判断と責任のもと、十分な説明を行ったうえで自由診療として処方しています。
なお、イソトレチノインは海外(米国・欧州など)では重症ニキビ治療薬として広く使用されており、複数の国際的ガイドラインにおいて有効性と安全管理の指針が示されています。一方で、副作用や催奇形性といった重要なリスクがあるため、定期的な診察・検査を含む厳格な管理が不可欠です。
治療の適応や継続可否については、診察・検査結果を踏まえて医師が判断します。
参考文献
American Academy of Dermatology, 2016, Guidelines of care for the management of acne vulgaris
European Dermatology Forum, 2018, EDF Guidelines for the treatment of acne
日本皮膚科学会, 2023, 尋常性痤瘡治療ガイドライン
ちぐさ内科クリニック覚王山
内科/美容内科/美容皮膚科
内科医 美容皮膚科医 近藤千種

近藤院長の経歴はこちら
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